源氏物語現代語訳の周辺|円地文子さんのエッセイ本を読む

   

世界最古の長編小説「源氏物語」の魅力は尽きません。
文章サポートライター梨理です。

このサイトの読書案内では、ご紹介する本のカテゴリーを絞ってお届けしてきました。

・言葉・文章術の本
・フリーランスのお役立ち本
・穏やかなシンプルライフの本

すぐに実用化できる本がメインだった訳です。

いわば目の前の必要な読むべき本ですね。

ところが、先日読んだ本のブックリストに触発されてしまいました。

今さら平安時代の物語?

食わず嫌いは横に置いておきましょう。
素晴らしい人生の叡智が詰まっています。

本日ご紹介する本は、源氏物語の現代語訳に取り組まれた作家の円地文子さん。
源氏物語への愛が深まる随筆集です。

ちょっとのぞいてみませんか。

「源氏物語私見」 円地 文子 著

「源氏物語私見(新潮文庫)」

著者:円地 文子 
出版社: 新潮社
出版年:1985年1月
分類:日本の随筆

 

個人的エッセンス

  1. 数十年の間読み続けてきた「源氏物語」でありながら、現在の年になって読み直すうちに、またこういう発見をさせてくれるとうのは、
    仮令(たとえ)それが私ただけのひとり合点であるにしても、「源氏物語」とは何という底の知れない深さと魅力を持つ作品であろう。
  2. 千年近い年月の風雪に耐えて来た古典と言えようし、それを生き耐えさせてきた日本人自身にも、私は誇りと、幸福を自然に感じるのである。
  3. 「源氏物語」を愛読者の立場で見て来た。
  4. 「いったいに物語というものは、誰それの身の上ときめて、ありのままをかたることこそないけれども、よいこともわるいことも、この世に生きていく人のありさまで、見ても見飽きず、聞いても聞き放しにしてしまえない事実を、またそのなかで後世にまで言い伝えたいと思うことがらを、心ひとつには秘めかねて書き残しておいたのが始まりでしょう。」
    -「源氏物語」玉かづらの物語論より。
  5. 源氏の中にどうしても捨てきれないもの、捨てきれないというより、とりこにされてしまうとどうしても逃げ出せないような何かがある。

読み終えて

円地文子さん訳の源氏物語全シリーズは、本棚のいい位置にあります。
とても読みやすい現代語訳です。

ひとりの愛読者として翻訳されたそうですが、その豊富な知識と言ったら・・・。

この翻訳をされている頃の思い出を、お聴きしている気持ちになる本でした。

今改めて、平安文学、源氏物語の世界をのぞいてみたら
なんと豊かな世界を手にしたことになるのでしょう。

平安時代の女性も令和の若い女性も、人間の心のひだは変わらないものなのです。

古びないから古典なのですね。
円地文子さんのこの本も1985年初版なのに内容が古びていません。
kindleで読むこともできます。

源氏物語の現代語版の前にこの本を読むと、より魅力を感じられることでしょう。

今から読まれる方はもちろん、
源氏物語マニアなあなたに強力におすすめしたい本
です。

関連データ

★ 本日ご紹介した本

「源氏物語私見(新潮文庫)」

著者:円地 文子 
出版社: 新潮社
出版年:1985年1月
分類:日本の随筆

 

★ 現代人もはまる、平安時代のものがたりの解説です。
受験の予備知識にもなると思いますよ。
この本の感想記事はコチラ

「平安女子は、みんな必死で恋してた イタリア人がハマった日本の古典」

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