自然災害が気になって「人が死なない防災」を読む

   

数年前まで「線状降水帯」という言葉とは無縁でした。

文章サポートライター梨理(りり)です。

 

梅雨時の台風、大雨、洪水警報・・・。

災害は地震だけではありませんよね。

 

本日ご紹介する本は、災害が起こる前に持っておきたい心構えの本です。

著者は「想定外」が問題ではないと説きます。

それでは早速、中身を見ていきましょう。

「人が死なない防災」片田敏孝 著

人が死なない防災

著者:片田敏孝
出版社:集英社新書

出版年:2023年
分類:学校保健

個人的エッセンス 7

  1. 100年確率の治水整備はありがたい反面、災害に備える知恵、連帯意識を失い無防備に
    「想定」を際限なく上げていくのは現実的ではない
  2. 防災教育:自然に向かい合い、弱き者を助ける、生きるための教育
  3. ハザードマップ:枠外なら安全という思い込みをなくす
    自分の命は主体的に守る
  4. 正常化の偏見:都合の悪い情報を無視したり過小評価すること
    死ぬことを前提にものを考えられない
  5. 認知不協和:わかっているけど行動できない
    率先避難者になること
  6. 津波でんでんこ:信じてそれぞれに逃げることを話し合っておく
    家族の絆が被害を大きくする
  7. 風化:徳によって強化すること(by「広辞苑」)
    当たり前すぎて語られなくなった時が、本当の意味での風化

読み終えて

著者は群馬大学教授で、2004年から釜石市で津波防災教育を行ってこられた方です。

この本では防災教育について、2010年の釜石高校での講演録も含まれています。

 

わたしはこの言葉が響きました。

思い切り自然に近づくということは、恵みに近づくと同時に、災いに近づくことでもある。

恵みはもらうけど災いはいらない、というわけにはいかない。

ー中略ー

「その日、その時」だけちゃんと逃げるということをやっていれば、あとは未来永劫、釜石の海の恵みを受け続けることができる

ー後略ー

津波の脅威をやみくも怖がらせるのではありません。

郷土を愛する心を育む防災教育と感じました。

 

2011年の東日本大震災で救われた命と失われてしまった命。

著者の無念が伝わります。

 

人間は大自然の前ではちいさな存在です。

自然の恵みは脅威でもある。

災害はあるのが当たり前と考えて逃げる準備をする、いざという時に行動できるようになるためのマインドセットの本です。

関連データ

★本日ご紹介した本

 

★あわせて読みたい本

ノンフィクションの力作です。

時が経った今だから読めるかもしれません。

私の感想はコチラです。
(参考記事:Fukushima50の原作本「死の淵を見た男」を読む

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