老年医学と薬の飲み方・減らし方の本を読む
減薬の参考になる本についてご相談いただきました。
レフアレンス(相談を受け参考資料を探す)の仕事を担当していたこともある、文章サポートライターの梨理(りり)です。
とてもわかりやすい本が見つかりましたので、皆さまにもご紹介致しますね。
著者は東大病院老年病科長の秋下雅弘先生。
一般向けの講演会のように丁寧な説明がありがたいです。
複数の病院通いをしている人、長年同じ薬を飲み続けている人のために書かれた本です。
中高年もいつかは高齢者になります。
ご家族に高齢者がいる方には代わりに読んでさしあげてくださいね。
それでは早速、中身を見ていきましょう。
「飲んでいる薬、多すぎませんか?」秋下雅弘 著
副題:正しい薬の飲み方・減らし方
著者:秋下雅弘
出版社:アートデイズ
出版年:2020年
分類:内科学
個人的エッセンス 10
- 老年病科とは、診療科の枠にとらわれず高齢者の全身と考えて最適な予防や治療を行う科
- 「多剤服用」と「ポリファーマシー」(そのため何らかの害が引き起こされること)
ふたつの意味を知って使い分ける - 高齢者に副作用が多いのは肝臓・腎臓の機能低下により薬が効きすぎるから
- 睡眠導入剤は半滅期(薬成分の血中濃度が半分になるまでの時間)が短いものに変えてみる
- 高齢者は個人差が大きいので医学的管理も年齢でひとまとめに区切ることはできない
- 年を取ったら薬も生活の管理もゆるめに、目の前の幸せを大切に
QCLとは人生の質 - フレイル指標は歩行速度(信号を渡り切れるか)ではか
- 飲む薬が6種類を超えると副作用は15%近く上がる
- 一包化の弊害は薬の長期保存ができないこと
- 飲み忘れたら少なく飲む方が有害事象は少ない
読み終えて
よく処方される薬の成分と商品名がたくさん出てきます。
多くの高齢者に共通して「できるだけ控えた方がいい薬」は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と抗不安薬。
1980年から副作用の少ない非ベンゾ系が主流になってきているそうです。
若い頃から同じ薬を飲み続けている高齢者は要注意ですね。
また、市販されている薬は総じて効き目がゆるいと思い込んでいました。
睡眠改善薬の市販品は抗ヒスタミン剤で高齢者にとって危険だそうです。
注意書きはあっても気づかないまま使用されている可能性が。
薬の副作用を煽るだけの本を読むと、自己判断で急にやめてかえって危ない心配もあります。
この本では、主治医の管理のもと優先順位の低いものからやめていくことが書かれていました。
表データも豊富で理論的かつ安心できる本です。
命を救うことだけではなく、幸せな老後を過ごし尊厳のある最期を迎えるためにある老年医学。
日本ではまだまだ少ないようですが、今後広がっていくことを願っています
関連データ
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