「最期まで在宅で」の現実と希望を知る本
人生100年時代と言われるようになったのは、2016年に出版された「ライフシフト100年時代の人生戦略」がきっかけと言われています。
このブログでも2017年にこの本を取り上げています。
日本でも翌年の2017年に「人生100年時代構想会議」が始まった記憶が懐かしいですね。
あれから私たちは健康に100年生きる道に進んでいるのでしょうか?
人生100年時代を考えることは、老いや生死について考えることになります。
本日ご紹介する本は今年上半期に読んだ本NO.1となりました。
それでは早速、私が受け取ったエッセンスをご紹介いたします。
この記事はAmazonの本の紹介リンクを含んでいます。
「実録・家で死ぬ」笹井恵理子 著
出典:Amazon
著者:笹井恵理子
出版社:中公新書ラクレ
出版年:2022年
分類: 衛生学. 公衆衛生. 予防医学
個人的エッセンス 10
- 麻薬の使い方は訪問医の経験と熱意によって変わる
(意識がある状態を保ちながら痛みを取るのはとても大切) - 在宅医療がいい、悪いの議論以前に「本当の在宅診療」をしているところが少ない
(90%以上が在宅医療の体をなざず、看取り率が50%台のところも) - 今の40~60代は子どもの世話にならない覚悟の人が多い
(介護を経験したか見たから。それほど家族の負担が大きい) - 本人にとって何かいいかだけに注力すると、家族が疲弊してつぶれかねない
- 医師と信頼関係を築くには7~8回を要する(by イギリスの研究)
- 在宅で患者さんに命を守る重要性は介護職8割医療2割
- 24時間対応の看板にいつわりありの薬局
- 「老衰」はみんなが納得して初めて書ける
- 魂があるのとないのとでは違うとわかる 見た目はしゃべりだしそうなのに人間ぽくないというか
(父の最期の瞬間を看取った娘の言) - 残された人は後悔するより故人を語ってほしい
悲しみからの回復には故人との会話を思い出すことで故人との一体感を感じられる
早く忘れようとしなくていい
読み終えて
今の世の中、最期まで在宅でという流れがきています。
心情的にも最期まで自分の家に居たいと思うでしょうし、介護保険も施設から在宅へとシフトしてきています。
それでも実際に在宅死を選ぶ人はまだまだ少数派です。
なぜでしょうか?
この本では、在宅死を選んで良かったという話だけではありません。
苦しんでなくなった方、綺麗な看取り死とならなかったケースも語られています。
一番驚いたのは多くの在宅医の現実です。
家族の負担はゼロでいい、愛情を注いてあげてほしいという、医療を全てお任せできる在宅医は希少です。
訪問医療と往診の違いをご存じですか?
- 計画的に訪問して確認するの訪問医療
- 緊急時に在宅にかけつけてくれる往診
家族は緊急時こそ頼りたいのに、往診に駆け付けてくれない訪問医、夜間のみバイトドクターという場合もあるそうでです。
終末期の家族の不安はいかばかりかと思わざるを得ません。
今まで在宅死関連の本も何冊か読みましたが、全て医者側、もしくは患者側という当事者目線のものでした。
この本は冷静に事実を伝えるジャーナリストの視点で語られます。
今年上半期一番のオススメ本です。
関連データ
★本日ご紹介した本
出典:Amazon
著者:笹井恵理子
出版社:中公新書ラクレ
出版年:2022年
分類: 衛生学. 公衆衛生. 予防医学
★あわせて読みたい本
タイトルがちょっと・・・と思われるかたもいらっしゃるかもしれませんが。
今をより良く生きるために。
私の感想はコチラです。
(参考記事:”最期の2年間にすること、しないことを考える本”)
出典:Amazon
出版社:幻冬舎新書
出版年:2022年
分類:医学
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