「小倉昌男祈りと経営」を読む

   

便利で快適な毎日の陰には、お世話になっている人がたくさんいるはずです。

たとえば、宅配便のお世話になっていないという方は珍しいではないでしょうか。

天候の悪い中での再配達などありがたいですよね。

 

今日ご紹介の本は、そんな宅配便のシステムを作った、クロネコヤマトの「宅急便の父」のお話。

著者がインタビューを重ね、故小倉昌男氏の人間性に温かさを持って迫っていく過程が大変魅力的な本でした。

ノンフィクションの三冠王ともなった力作です。

「小倉昌男 祈りと経営」森 健 著

小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの

著者:森 健
出版社:小学館
出版年:2016年3月
分類:個人伝記

個人的エッセンス3と祈りの言葉

  1. ヤマトの宅配便事開始時のスローガン「サービスが先、収益は後(のちに「利益」に修正)
  2. 物流の業界団体の中では強烈な野党。
    徹底した論理と正義感。(by 業界紙記者の印象)
  3. 利益があってこそ被雇用者=障がい者の賃金を上げ、暮らしを改善できるはず。
    必要なお金がないと事業も生活も続かないと教える経営セミナー

「変わるべきものと変わるべからざるもの」
アメリカの神学者・ライン歩ルド・ニーバーの祈り。

「神よ
変えることができるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、それを受け容れるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを識別する知恵を与えたまえ。」

ヤマト退職後の昌男は、「ニーバの祈り」を胸に、私財を投じて福祉財団を設立したのではないか。

読み終えて

没後も素晴らしい経営者として評価が高い小倉昌男。

この本では、経営者小倉昌男の手腕はもとより、家庭人小倉昌男氏に迫っていきます。

なぜ、小倉昌男は晩年、私財を投じて福祉活動に力を注いていったのか。

そこに見え隠れする家族の影響。

まるでミステリーの様な評伝でした。

 

立場が変われば見方も変わります。

身近な人や親族などへのインタビューはデリケートな問題をはらむものです。

それがこの本は、たくさんの人にインタビューしながらも節度ある配慮を非常に感じるのです。

だからこそ最後の章へ繋がるのだと思います。

温かなまなざしと他者へのリスペクト。

  • 2012年、第43回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
  • 第22回小学館ノンフィクション大賞。
    (史上初選考委員全員が満点の大賞受賞作)
  • ビジネス書大賞2017・審査員特別賞

というのも納得の力作です。

関連データ

1.今回ご紹介した本

小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの

著者:森 健
出版社:小学館
出版年:2016年3月
分類:個人伝記 

 

2.経営者としての小倉昌男

経営はロマンだ! 私の履歴書・小倉昌男 (日経ビジネス人文庫)

著者:小倉 昌男
出版社:日本経済新聞社
出版年:2003年1月
分類:個人伝記

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