言語学から見た「日本人も悩む日本語」 加藤 重弘 著

   

今日ご紹介の本は、よくある正しい日本語の本とは一味違う印象を持ちました。

まえがきで触れられていたそうそうたる名前。
三島由紀夫・谷崎潤一郎・川端康成・中村真一郎・丸谷才一・井上ひさし。

文学を読み、綴る人なら読んでいるはずの本です。
私ももれなく読んでいますよ。
著名な作家たちのいわゆる文章至難本。
作家の文章哲学を感じ取れる、これらの本はそれぞれに興味深いものでした。

最近は、ブログを書いている以上、間違った言葉遣いをしないようにと日本語本に手が伸びますね。
本書もそのひとつと思ったのですが、違う角度から論じられていて大変面白かったです。

それでは早速、中身に入っていきましょう。

「日本人も悩む日本語」 加藤 重弘 著

副題:ことばの誤用はなぜ生まれるのか?

「日本人も悩む日本語 ことばの誤用はなぜ生まれるのか? (朝日新書)」

著者:加藤 重弘
出版社: 朝日新聞社出版
出版年:2014年11月
分類: 日本語

個人的エッセンス 5

  1. 習慣的に長く使っていると一種の規範を持つようになる。
    例:地名の川は河でなく川と表記が決まっている。
  2. 送り仮名の原理は、大原則でうまくいかなければ修正をかけるというもの。
    文章を書く時に生じる問題を最小限度にする実用的なシステム。
  3. 元の世界観を知らないと誤用が生じる
    例:油を売るとは、油を容器に移し替えている時にお客様と世間話をすること。
    手持無沙汰な時間にならないように仕事していた、逆の意味だった。
  4. 語源は諸説の中のひとつとして理解する。
  5. 「お荷物のほう、お持ちします。」
    「ほう」が気になる年長者もいるが文法的にはOK。
    冗長であっても間違いではない。
    直接的に言わず柔らかく配慮した上でのものいいからきている。

読み終えて

正解か不正かの答えに飛びつくやり方で見落としがちなところに注目した本です。
よくある日本語本とは違う視点と切り口で、大変面白かったです。

驚いたのは「全然」について。
国語の時間に「全然」は否定文で使うのが正しいと習ったように思います。
「全然いい。」という使い方は、誤用だけど許されつつあると理解していました。

実は、「全然」に肯定文がくるのは江戸時代からあった用法だそう。
あの夏目漱石も使っていたんだとか。

最近の「全然」は想定の否定を打ち消すために使うそうです。
そういえば、本人が否定したところに、「全然大丈夫ですよ。」なんて使いますよね。
若者の優しい配慮から来ているという論に納得したのでした。

言葉の遣い方は正しい、正しくないと簡単に割りきれるものでもありません。
それは現実社会と同じで自律的に調整していく道をと説く、著者の言に感銘を受けました。

日本語を愛する人、ブロガーさんにはぜひ読んでいただきたい本です。

関連データ

1.今日ご紹介した本

「日本人も悩む日本語 ことばの誤用はなぜ生まれるのか? (朝日新書)」

著者:加藤 重弘
出版社: 朝日新聞社出版
出版年:2014年11月
分類: 日本語

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