自宅で老々介護、作家の看取りの日々を読む
超高齢化社会によって介護は自宅への流れになってきています。
親世代の介護より、肉体的精神的にも大変なものが老々介護でしょう。
今日ご紹介の本は作家の冷静な目でみた介護と看取りの記録です。
「夫の後始末」なんて・・・。
正直なところ違和感を感じたタイトルでした。
しかし、それにも理由があったのです。
それでは早速、中身に入っていきましょう。
「夫の後始末」曽野 綾子 著
「夫の後始末」
著者:曽野 綾子
出版社: 講談社
出版年:2017年10月
分類:エッセイ
個人的エッセンス 10
- 努力だけで事を成就させることはできない
社会の潮流とか時の巡り合わせとか、人間から見ると理不尽な要素があってこそ、人生は編まれていく - すべてのことは過ぎ去るのだ
変化のない人生はない
時々の変化を自然にというより仕方なく受け入れる - 人間の臨終を楽にするためにしないこと(故日野原重明氏の言より)
・24時間の点滴(痰が増えて苦しむ)
・胃ろう(終わりのない闘い)
・気管切開(最後のお別れの声が出せない) - 薬というものがあるとすれば、毎日の食事と食材にある
- 健康人でも病人でも、壮年でも老年でも、人生に思い通りにならないことぐらいあって当然
その手の不如意には誰もが耐えなければならないのが現世 - ディアゴニア(奉仕を意味するギリシャ語)の語源は汚いものを通してと言う意味
家族の看取りの基本は排泄物の世話である - 医療を与えられた後の自然な死の後なら穏やかな納得ができる気がする
- ひとつだけでも叶えられたら上出来というものだ
- 重荷になっていた配偶者なら重荷がとりのぞかれて幸福になる
楽しかった夫婦ならひとりになったら寂しさだけだろう
それも平等な運命の与えられ方かもしれない - 残された者はどんな思いを胸に抱いていても歩き出さねばならない
それは地球の物理的な力学のようなもの
読み終えて
当初は「自宅で、夫を介護する」というタイトルだったそうです。
著者は長丁場の介護生活を覚悟します。
1年数か月後、新しいベッドが到着した日に最後の入院へ。
63年あまりも連れ添った夫婦の日々を通じて、
思い通りにならないことも当たり前という諦観を感じました。
昨今はポジティブオンリーな風潮が強いです。
ポジティブになれないことで苦しんでいる方もおられるでしょう。
冷静な作家の目を知ることで
新しいモノの見方があなたを勇気づけてくれるかもしれません。
この本の続編もあります。
人生後半生に入ったと思う方への1冊です。
関連データ
1.本日ご紹介した本
「夫の後始末」
2.あわせて読みたい
老いることににおびえていた20代の頃に読んだ本です。
未知への心構えができたような気がします。
若い世代~中高年におすすめです。
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