語らないインタビュアーの記録「ことばを尋ねて」 島森路子 インタビュー集を読む
自分のできることは当たり前のこと。
人は自分のこととなると過小評価してしまいがちです。
生活の中で自然にしている傾聴も、仕事でお話を引き出すことも、大きな意味ではインタビューですよね。
ご本人の当たり前を引き出していくインタビューは、人間らしい行為のひとつと思っています。
文章サポートライター梨理です。
今日ご紹介の本は、広告批評の2代目編集長だった島森路子氏のインタビュー本です。
インタビュアーとして、質量共に群を抜いていたと評される島森路子氏。
インタビューのお相手で登場するのは13人。
淀川長治・山田風太郎・吉田秀和・養老孟司・美輪明宏・谷川俊太郎・
糸井重里・橋本治・タモリ・ビートたけし・所ジョージ・イッセー緒方
・門倉雄策の各氏。
インタビューの年代は1980年~1999年まで。
タモリさんが異色の新人としてインタビューされていたのにはビックリ!
まだ生まれてなかったよ、という方もいらっしゃるでしょうね。
それでは早速本を開いてみましょう。
「ことばを尋ねて」 島森路子 インタビュー集1」
「ことばを尋ねて―島森路子インタビュー集1」 出典:Amazon
著者:島森路子
出版社:天野祐吉作業室
出版年:2010年8月
分類:伝記 日本
個人的エッセンス 5
- 本当は、歳をとったからできないと思うのは、若いときにもその人はそれをしなかったんだと思う。
(By 吉田秀和)1988年 - 権力がつきそうになったとき、その権力のアカみたいなものをコゾギ落としていくというのが、僕は感性だと思うから。(By 糸井重里)1980年
- 癒しの問題がこれだけ流行るのは、結局は身体を使っていないってこと。
(養老孟司)1999年 - 一人ひとりは全員違う。それが二人三人四人となってくれば、集団自体が個人を離れて、別の人格を持ってしまう。
それが、恐ろしいの。(By 三輪明宏氏)1992年 - 老いの現実から目をそらすわけでもない、偽善的にいうわけでもなく、元気なんかもう絶対に出ないような状況の中に追い込まれた人間がそうやって生きてきて、ものを書いているということが、すごくいい。
(by 谷川俊太郎)1987年
読み終えて
はじめに、元「広告批評」主催の天野祐吉氏により、質量共に圧倒的だった島森路子氏のインタビュアーぶりが語られます。
相手の仕事の魅力にとことん惚れ込み、その人自身の言葉で魅力を明らかにしていこうとするものでした。
完全に一人語りの形で収められているものもありましたね。
追記で、糸井重里氏がインタビュー当時を振り返っています。
若さの恥ずかしさと変わらない自分軸について書かれているのも興味深かったですね。
あとがきではインタビューを受けた谷川俊太郎氏が文章を寄せています。
話し言葉を書き言葉に編集するのは難しい作業なのに、彼女のインタビューは耳から目への翻訳だったと。
さすが言葉を大切にする詩人の視点と感じました。
映画評論家の淀川長治さんの21世紀への遺言ロングインタビューは、時代の匂いがする圧巻のレポートでした。
言葉を切り取るよりもあの時代の渦を感じていただきたいと思います。
音楽評論家の吉田秀和氏は、クラシック音楽の繰り返しの退屈さや瞑想状態などがテーマ。
取り出したエッセンスのどこかに響くところがあれば、実際に本をお手に取ってお読みくださいね。
そしてまた、あなたの感想もお聴きしたいものです。
お気軽にコメントしていただければ喜びます。
関連データ
1.今回ご紹介した本
「ことばを尋ねて―島森路子インタビュー集1」 出典:Amazon
著者:島森路子
出版社:天野祐吉作業室
出版年:2010年8月
分類:伝記 日本
2.インタビュー集の後編です。
登場するのは、村上春樹氏やとんねるずなど11名のインタビュー。
「ことばに出会う―島森路子インタビュー集2」 出典:Amazon
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