詩人の書いた壮大なものがたり「儚い光」を読む

   

Webでも本でも知識を求めて情報収集。

本を読む時は目的意識があって選ぶものが増えています。

現状、仕事上の必要に迫られて読む本が8割以上でしょうか。

文章サポートライター梨理です。

今回ご紹介の本はある書評を見て。

読まなければではなく、楽しみだけでもなく、読んでおきたいという気持ちになった本です。

 

読み終わってみてこの本をご紹介したい人が浮かびました。

ベストセラーでありながら、誰にでもおすすめしたいわかりやすい小説ではありません。

私が紹介したかったのは、今、このページを見ているあなたへかもしれません。

それでは早速中身を開いてみましょう。

「儚い光」 アン・マイクルズ 著 黒原 敏行 訳

儚い光 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
著者:アン・マイクルズ
翻訳:黒原 敏行
出版社:早川書房
出版年:2000年10月
分類:英米文学 

個人的エッセンス 6

  1. ”夜に追いつかれないうちに、ろうそくに灯りをともせ” By ギリシャのことわざ
  2. ”詩を翻訳で読むのは、ベールを通して女性にキスするようなもの。” by イスラエルの詩人 ビアーリク
  3. 詩人は現実から言葉へ移行し、翻訳者はことばから現実へ移行する。
    どちらも移民のように身を移しながら、目に見えないもの、行間にあるもの、神秘的な含意を、とらえようとする。
  4. 心の問題について助言を求める人は、じつは身体をどうすればいいかを教えてもらいたがっている。
  5. 嘘を支えに生きていくか、真実を支えに生きていくか、それはどちらでもいい。
    壁を突きぬけられるかどうかが問題だ。
  6. 人の悲しみの重さは、眠っている子どもの重さと同じだ。

読み終えて

著者のアン・マイクルズ氏は、カナダ在住の詩人であり、この作品が初の長編小説になります。

オレンジ小説賞受賞の他、10個の文学賞を受賞。

本国カナダではベストセラー、世界25か国語に翻訳されまた本です。

それにも関わらず読む人を選ぶ作品だと感じました。

 

物語の基調としてあるのは、ホロコーストを逃れた少年ヤーコプのその後の人生。

 

詩人の書く長編小説は、具体的著述のわかりやすい世界ではなく暗喩に満ちています。

だからこそ苦しさがありながらも読み進められたのかもしれません。

翻訳の文章も格調が高く著者の世界に触れられた気がします。

 

巻末の文芸評論家川本三郎氏の文章は理解の助けになるでしょう。

世界の不条理のひとつは、一方に平穏な生活があるのに、同じ時に世界のどこかで誰かが苦しんでいること。

どんな瞬間も、ふたつの瞬間であるということ。

重いテーマの中に希望と救いの光があります。

読み始められた方には、最後まで読み進めていただきたい本です。

関連データ

1.今回ご紹介の本

儚い光 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
著者:アン・マイクルズ
翻訳:黒原 敏行
出版社:早川書房
出版年:2000年10月
分類:英米文学 

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