「凛々しい」ラ行の語感|言葉の由来と選択

   

四季のある日本には繊細な表現がたくさんあります。

季節の移ろいを細分化した七十二候(しちじゅうにこう)の表現。
また、俳句には季語を入れるのが決まり事ですよね。

文章サポートライター梨理です。

漢字・ひらがな・カタカナという3種類の文字を持つ日本人。
またオノマトペ(擬音語・擬態語)も豊富です。

一般的な日本語を理解するには10000語以上の語彙力が必要になるとか。
外国人の日本語習得が難しいと言われるゆえんですよね。

豊かな言葉と文字を使いこなすのは、たやすいことではありません。
そのおかげで、私たちは今の気持ちにふさわしい表現を探す楽しみを持てるのです。

言の葉の由来と選択を探ります。

今回取り上げる言葉は「りりしい」です。

元号「令和」が発表された時の語感

2019年4月1日、新元号「令和」が発表された時にどんな第一印象を持ちましたか?

個人的な感想ですがラ行に現代的な響きを感じました。

伝統的な元号の語感と予想とは違っていて驚いた記憶があります。

1.ラ行の響き

大和(ヤマト)言葉とは、中国から漢語が伝来する前からあった日本古来の言葉です。

「ふんわり」という言葉は大和(ヤマト)言葉のひとつです。

大和(ヤマト)言葉にはラ行で始まる言葉がありません。

それで現代の私たちも、ラ行始まりの言葉には何か新しい感じを持つのかもしれません。

2.「りりしい」の語源

「りりしい」を漢字で書くと「凛々しい」となります。

元々は寒さで身が引き締まる様子を表していました。

漢語として伝来した「凛(りん)」

そのふたつを強調した「凛々(りんりん)」が形容詞「凛々しい」です。

例文:勇気凛々、前に進んでいきましょう。

3.「凛々しい」の意味の広がり

凛々の音の響きは金属のベルのようですよね。

昔の日本人は、漢語の「凛々」の音に聡明な響きを感じたのでしょうか。

元の意味に加えて「とても賢い」という意味を持つようになりました。

現在は「凛々しい」というと「勇ましい」「頼もしい」という意味合いが強くなりますね。

例文:少年は凛々しい表情で弓をひいた。

4.「きりり」と「凛々しい」

「きりり」と言う言葉があります。

物事に集中して引き締まった様子を表す副詞です。

「凛々しい」の形容詞とは、音も意味も似ている言葉ですね。

寒さで引き締まる様子の「凛々しい」は、
元々あった言葉「きりり」の意味に近づいていったと推測されます。

例文:少年はきりりと弓をひいた。

音の響きと言葉の意味には深い関係がある、と感じさせてくれる言葉「凛々しい」でした。

 

文章サポートライター梨理(りり)がこの項をお伝え致しました。

関連図書など

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